【株式会社における株主総会決議の決議要件について】 司法書士梶原美保
皆様、こんにちは。司法書士・行政書士の梶原です。
株式会社には重要な決議をするため株主総会が開かれます。この株主総会は、各議案の内容によってその成立要件が違っています。この成立要件のことを決議要件といい以下の3つの要件が用意されています。
それぞれ①普通決議 ②特殊普通決議 ③特別決議と呼ばれていますが今日は普通決議についてお話ししたいと思います。
普通決議は、「定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の過半数が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数を持って行う。」(会社法第309条1項)とされています。
この条文によって決議を満たすための定足数と議決権が定められているのです。つまり100株発行している会社では51株に達する株主が出席しないと株主総会は成立しないといっています(定足数)。そして51株を有する株主の中で、この議決権の過半数(26株)の承認を得ないと決議は成立しない(議決権数)ということになるのです。
では、以下のような内容の定めが定款に盛り込まれていた場合はどのように考えたらいいのでしょうか。
「株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。」
この書き方だと会社法第309条第1項にある「議決権を行使することができる株主の過半数が出席し、~」という文言がありませんので定足数を排除しているようにもみえます。定足数が排除されれば1株しか持っていない株主だけが出席したとしても、その者が賛成すれば決議は成立するということになります。
しかし、定足数を排除しているというよりは議決権について記載しているだけのような・・・会社法第309条第1項をそのまま引用しているだけのような・・・やっぱり、定足数を排除しているようなスッキリしない文章に思えませんか?
このようにどこか曖昧でどうとでも読める定款ではこまります。誰が読んでも明快な規定を設けましょう。
今回の場合は例えば、「株主総会の決議は、会社法の規定にかかわらず、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。」とか「株主総会の決議は、定足数を排除し、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。」などとした方がスッキリすると思います。
今はインターネットという便利なものがありますので、「定款案」も検索すればたくさん出てくると思いますが、注意してお使いくださいませ。